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セロ弾きのゴーシュ
大提琴手高修
(1)
ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。
高修是镇上一家电影院乐团的大提琴手。
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けれどもあんまり上手でないという評判でした。
不过镇上的人都公认他拉得不好。
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上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。
岂止是不怎么好,他根本就是乐团里琴艺最差劲的一个,所以总是被指挥教训。
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ひるすぎみんなは楽屋に円くならんで今度の町の音楽会へ出す第六交響曲の練習をしていました。
那天下午,大家在后台围成一圈,排练着下次将在镇上音乐会演奏的第六交响曲。
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ヴァイオリンも二いろ風のように鳴っています。
二重奏的小提琴也如微风般应和着。
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クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。
ゴーシュも口をりんと結んで眼を皿のようにして楽譜を見つめながらもう一心に弾いています。
高修也紧抿着嘴,把眼睛瞪得像铜铃一般,紧紧盯着乐谱,全神贯注地拉着琴弦。
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にわかにぱたっと楽長が両手を鳴らしました。
突然,指挥“啪”地拍响了双手。
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「セロがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやり直し。はいっ。」
“大提琴慢了。哒哒滴 滴哒哒,从这儿重来。预备——起。”
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みんなは今の所の少し前の所からやり直しました。
众人又从前面几个小节开始演奏。
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ゴーシュは顔をまっ赤にして額に汗を出しながらやっといま云われたところを通りました。
高修涨红了脸、满头大汗地拼命拉着,总算通过这一关。
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ほっと安心しながら、つづけて弾いていますと楽長がまた手をぱっと拍ちました。
他刚松了口气,再继续拉着接后的小节时,指挥又拍起手来。
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“大提琴!音不准!这样怎么行呢?
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ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ。」
我可没闲工夫从Do Re Mi Fa开始教你!”
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みんなは気の毒そうにしてわざとじぶんの譜をのぞき込んだりじぶんの楽器をはじいて見たりしています。
大家一脸同情,只好故意埋头看自己的谱,或低头拨弄着自己的乐器。
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これはじつはゴーシュも悪いのですがセロもずいぶん悪いのでした。
其实这不仅是高修自己的问题,这把大提琴本身也有毛病。
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“从刚才的小节前面开始。预备——起!”
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高修更是抿着嘴一板一眼地拉着。
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いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。
正当大家觉得步入正轨时,指挥又吓唬人般地拍了手掌。
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またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。
高修心里咯噔一下,以为自己又错了,还好这回是别人出错。
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ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。
他就学着刚才众人的模样,故意把脸凑到乐谱前,假装在思考什么事似的。
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“好,紧接着刚才的地方。预备——起!”
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そらと思って弾き出したかと思うといきなり楽長が足をどんと踏んでどなり出しました。
高修刚拉了几下,冷不防指挥又跺着脚大声吼骂起来。
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諸君。演奏までもうあと十日しかないんだよ。
各位,离正式演出的日子只剩十天了。
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音楽を専門にやっているぼくらがあの金沓鍛冶だの砂糖屋の丁稚なんかの寄り集りに負けてしまったらいったいわれわれの面目はどうなるんだ。
要是我们这些专业搞音乐的,输给了那些由蹄铁匠、糖果铺小伙计拼凑起来的草台班子,我们的脸面往哪儿搁?
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おいゴーシュ君。君には困るんだがなあ。
怒るも喜ぶも感情というものがさっぱり出ないんだ。
我没有感受到喜、怒、哀、乐任何一种感情。
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それにどうしてもぴたっと外の楽器と合わないもなあ。
いつでもきみだけとけた靴のひもを引きずってみんなのあとをついてあるくようなんだ、困るよ、しっかりしてくれないとねえ。
老是只有你好像拖着松绑了的鞋带,慢吞吞地跟在大家后面走。不行啊,你得打起精神来才行啊!
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光輝あるわが金星音楽団がきみ一人のために悪評をとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だからな。
咱们这个广受好评的金星乐团要是因为你一个人坏了名声,其他人不是太可怜了?
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では今日は練習はここまで、休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれ給え。」
那么今天就练到这儿,休息一下,别忘了六点整全体都得进乐队席里。”
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みんなはおじぎをして、それからたばこをくわえてマッチをすったりどこかへ出て行ったりしました。
众人行了个礼,有人叼着香烟掏出火柴点火,有人到别处去了。
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ゴーシュはその粗末な箱みたいなセロをかかえて壁の方へ向いて口をまげてぼろぼろ泪をこぼしましたが、気をとり直してじぶんだけたったひとりいまやったところをはじめからしずかにもいちど弾きはじめました。
高修抱着他那把破旧木箱子般的大提琴,面向着墙壁,撇着双唇暗自落泪。哭过一阵后,才又打起精神,独自一人静静拉起刚才众人练习过的地方。
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つづく🖌
选自丨「セロ弾きのゴーシュ」
朗読丨石田彰