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兄への嫉妬
对哥哥的嫉妒
それがいつの頃からか、何かが変わってきたことに気付いた。
不知从何时起,我意识到有些事在改变。
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僕が小学校高学年、兄が中学生の時だったように思う。
大概是我上小学高年级,哥哥上了初中的时候吧。
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我发现自己总是被拿来和哥哥比较。
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お兄ちゃんは本当に頭がいいのに、気のつく優しい子なのに、しっかりした子なのに、家の手伝いもよくするのに……
哥哥当真是个聪明伶俐、细心体贴的好孩子,而且自强自立,经常帮家里的忙,而我却……
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それらの言葉はすべて僕に向けられているようで、ひどく悲しくなった。
这些话都像在指责我,让我感到无比悲伤。
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母だけでなく、近所の人全員がそう言っているように思えてしかたなかった。
不仅是母亲,就连附近的人都在这么说。
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特别是父亲的态度变得特别严厉。
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学期末の成績表を差し出した時のことだった。
记得那是我把期末成绩表递给父亲的时候。
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クラスでも後ろから数えた方が早いほど、ひどい成績だった。
当时的成绩差劲得在班级排名内倒数上去还更快能看到我的名字。
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「お前はなんてだらしないんだ、勉強もせずに何をやっていたんだ? 少しは兄ちゃんを見習え!」
“你怎么这么没出息,学习不成,你都干什么去了!跟你哥哥学学吧!”
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父親の平手が飛んできて、僕はもんどり打った。
父亲一巴掌下来,把我打翻在地。
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床に打ちつけた頭が痛くて、思わず泣き出すと、父はますます怒った。
头撞在地上痛得不行,我忍不住哭了,这让父亲更加怒火中烧。
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「この泣き虫め、そんなだから学校でもいじめられたりするんだ!」
“就知道哭,所以你在学校里才会被欺负!”
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確かに、この時は学校でもひどいいじめに遭っていた。
的确,那个时候我在学校被欺负得很惨。
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元々気が弱く、大人しい性格の僕は絶好のターゲットになっていた。
本来我就很懦弱,像我这种温顺的人往往会成为欺负的对象。
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登校すれば上履きがない、机の上には「死ね」の落書き、教科書もゴミ箱に捨てられた。
一上学就会遭到各种欺负,比如校鞋不见了,桌子上被人写上“去死”,教科书被扔进了垃圾桶。
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授業に出られなかったことを教師にひどく叱られた。
没能去上课,还被老师以此为由骂了一顿。
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それでも、僕はいじめに遭っていることを誰にも言えなかった。
即便如此,我也不敢告诉任何人自己被欺负的事。
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いじめがもっとひどくなることが恐ろしかったからだ。
兄と一緒だった低学年の頃は、誰にもいじめられなかった。
低学年时哥哥和我同校,从没人欺负我。
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いつでも兄が守ってくれたし、睨みをきかせてくれていた。
哥哥总是保护着我,不让别人欺负我。
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しかし、兄が卒業すると同時に、いじめは始まった。
但哥哥一毕业,我就开始被人欺负了。
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家に帰っても親にいじめられている気がして、悲しくてしかたなかった。
回到家感觉家人也在欺负我,倍感伤心。
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父親に怒鳴られている時も涙が止まらず、ますます父の怒りをあおった。
被父亲骂的时候我泪流不止,反而让父亲更加生气。
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「父さん、その辺で許してやってくれないか」
すると、父は「まったく、意気地なしめ!」と捨て台詞を吐くようにして自分の書斎へと入っていた。
于是,父亲扔下了一句“真是的,没用的窝囊废!”便回书房了。
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この時はじめて、兄に対する嫉妬心が生まれた。
那个时候,我第一次萌生了对哥哥的嫉妒。
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確かに、父親の暴力からは救ってくれた。
确实,他从父亲的暴力中解救了我。
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それは、あの幼い頃の野犬の時と同じだった。
でもそれよりも、あの父親に対してさえ兄の意見が通ることに、僕は心から絶望に似た感情を持った。
但比那更让我难受的是,父亲更能听哥哥的意见,我的心情几近绝望。
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いつもの優しい兄の声だったが、それすらも辛くて、兄の差し伸べる手を振り払って叫んだ。
哥哥的声音一如既往的温柔,但此刻就连这份温柔都会刺痛我的心,我拨开哥哥伸过来的手喊道。
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「ほっといてよ、どうせ僕は勉強もできない駄目な子なんだ。」
“别管我,反正我就是一个学习不好的坏孩子。”
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階段を駆け上がり、自分の部屋に入って布団を被って泣いた。
我冲上楼梯,回到自己的房间,蒙在被子里哭了起来。
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この時ほど兄を憎らしく思ったことはなかった。
兄はもはや僕にとって正義のヒーローではなかった。
他不再是我心目中的正义英雄了。
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あまりに惨めな自分がかわいそうに思えて、また泣いた。
想着自己凄惨的可怜样子,不觉心头一痛,又哭了起来。
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この日をきっかけに、僕は部屋に閉じこもるようになり、兄ともほとんど口を聞かなくなった。
从那天起,我开始闷在家里,几乎不跟哥哥说话。
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部屋で一人ゲームをしている時間だけが、僕を癒してくれた。
一个人在房间里玩游戏成为唯一的慰藉。
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学校に行ってもいじめられる、学校に行かなければ父親に殴られる。
去学校会被欺负,不去学校会被父亲打。
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だから僕は学校に行くふりをして、近くの公園で一人ぶらぶらすることが多くなった。
所以我常常假装去上学,然后在附近的公园独自徘徊。
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しかしそれも担任からの連絡ですぐにばれ、また父親に殴られた。
但很快父亲就从班主任那里得到了消息,还是免不了一顿打。
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とうとう僕は部屋から一歩も出なくなった。
渐渐地,我开始寸步不离房间了。
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腹が減ったら家の金を持ち出し、お菓子や弁当を買って部屋で食べた。
饿了就从家里拿钱,买一些点心或盒饭在房间里吃。
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母親や兄がいくらドア越しに声をかけても、返事さえしなかった。
不管母亲和哥哥在门外怎么说,我都不理他们。
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夜には父親が帰ってきて、すごい剣幕でドアを叩くが、僕はそれさえも無視した。
晚上父亲回来,气势汹汹地敲门,我也全然不理。
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つづく🖌
选自丨続・ふしぎ工房症候群
EPISODE 4「兄からの手紙」
第二篇传送门