「ねえ、まるで雪みたいだね」「え、そう?そうかなあ……」
“看,好像雪一样呢!”“哎,是吗?也许是吧……”
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「ふーん。まあいいや」と明里はそっけなく言ってから、僕より二歩ほど先でくるりと振り向いた。
“嗯……好吧。”明里淡淡地说道,然后快步向前跑了两步之后转过身来。
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栗色の髪の毛が空を映してきらきらと光り、そしてふたたび謎めいた言葉を口にした。
明里栗色的头发在阳光的照耀之下闪出华丽的光芒,接着说出了更加让我迷惑的话
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「ねえ、秒速五センチなんだって」「え、何が?」
“那,你知道秒速五厘米吗?”“哎?什么?”
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“你觉得是什么呢?” “我不知道。 ”
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「すこしは自分で考えなさいよ貴樹くん」
“至少你自己也要思考一下吧,贵树。 ”
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そんなことを言われても分からないので、僕は分からないと素直に言う。
可即便她这么说我依然找不到任何答案,于是只好坦白说不知道。
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「桜の花びらの落ちるスピートだよ。秒速五センチメートル」
“是樱花飘落的速度哟。秒速五厘米。”
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びょうそくごせんちめーとる。不思議な響きだ。僕は素直に感心する。
秒速五厘米。真是不可思议的话语,我真心地感慨道。
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「ふーん。明里、そういうことよく知ってるよね」
“嗯……明里知道的还满多的嘛。 ”
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呵呵,明里似乎很开心地笑了起来。
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「もっとあるよ。雨は秒速五メートル。雲は秒速一センチ」
“还有好多呢。雨的速度是秒速五米,云是秒速一厘米。”
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「くも?くもって空の雲?」「空の雲」
“云?是说天上的云吗?”“天上的云。”
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「雲も落ちてるの?浮いてるんじゃなくて?」
“云也会掉落下来吗?云不是在天上浮着的吗?”
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「雲も落ちてるの。浮いてるんじゃなくて。小さな雨粒の集まりだから。雲はすごく大きくて遠いから浮いているように見えるだけ。
“云也是会落下来的呀。不是浮着的。云是很多小雨滴的集合体,因为云太大了而且又在很高很远的空中,所以看起来好像是浮着的一样。
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雲の粒はゆっくり落ちながらだんだん大きくなって、雨や雪になって、地上に降るの」
云滴是在渐渐下落的并且在下落的过程中逐渐变大,最后成为雨或者雪降落到地面上。”
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「……ふうん」と、僕は本当に感心して空を眺め、それからまた桜を眺めた。
“……嗯?”我不由得感慨着向天空望去,接着便看到满天的樱花。
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明里のころころとした少女らしい声で楽しげにそういうことを話されると、そんなことがまるで何か大切な宇宙の真理のように思える。秒速五センチメートル。
看似平凡的事情由明里那可爱的少女声音说出来之后,对我来说竟然成为了宇宙真理。秒速五厘米。
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「……ふうん」と、明里が僕の言葉をからかうように繰り返し、唐突に駆け出した。
“……嗯?”明里忽然重复了一次我的话,然后突然跑到前面去了。
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「あ、待ってよ明里!」僕はあわてて彼女の背を追う。
“啊,等等我,明里!”我慌忙追上了她的身影。
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あの頃、本やテレビから得た僕たちにとって大切だと思う知識――たとえば花びらの落ちる速度とか宇宙の年齢とか銀が溶ける温度とか――を、帰り道で交換しあうことが、僕と明里の習慣だった。
那个时候,在放学的路上互相交换从书中或者电视之中得到的在当时的我们看来非常重要的知识——比如说花瓣飘落的速度、宇宙的年龄、还有银的熔点什么的——是我和明里最常做的事情。
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僕たちはまるで冬眠に備えたリスが必死でどんぐりを集めるように、あるいは航海をひかえた旅人が星座の読みかたを覚えようとするように、世界に散らばっている様々なきらめく断片をためこんでいた。
我们两个好似准备冬眠的松鼠在拼命收集食物一样,或者说像准备远洋的航海家牢记星座的位置一样,努力积攒着散落在世界之中的各种各样的知识。
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そういう知識がこれからの自分たちの人生には必要だと、なぜか真剣に考えていた。
不知为何,当时的我们真的很认真地把这些知识,当作未来人生中所必须的东西而努力地记着。
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そう。だから僕と明里はあの頃、いろいろなことを知っていた。
是的,那个时候的我和明里,真的知道很多很多的事情。
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季節ごとの星座の位置も知っていたし、木星がどの方向にどの明るさで見えるかも覚えていた。
不但知道每个季节星座的位置,还知道木星从哪个位置哪个时间才能够看到。
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空が青く見える理由も、地球に季節がある理由も、ネアンデルタールが姿を消した時期も、カンブリア紀の失われた種の名前も知っていた。
天空为什么是蓝色的,地球为什么有季节的变换,尼安德特人灭绝的时期,甚至寒武纪中消失的物种的名字我们都知道。
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僕たちは自分より遥かに大きくて遠くにあるものすべてに强く憧れていた。
我们异常憧憬着一切与自身相隔遥远的东西。
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今では、そういうことのほとんどを忘れてしまったけれど。
虽然那些东西对于现在的我来说基本都已经记不起来了。
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今となってはただ、かつては知っていたという事実を覚えているだけだけれど。
但是我依然记得,当年的自己清楚地知道这些事情。
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おしまい